養老天命反転地

それは、平衡感覚だけではなく、人生観も揺さぶるグランドアート

数多くの伝説・伝承を持ち、精霊たちと大地の巨大なエネルギーを孕む養老の山懐に、地表に穿たれた異空間「養老天命反転地」があります。ここは、稀代の天才芸術家、荒川修作氏とそのパートナーで詩人のマドリン・ギンズ氏の30数年に及ぶ構想を実現した、壮大なアートであり、その神髄は芸術論だけでは語れません。

人生100年時代、天命の名のもとに背負ったカルマは果て無く重い、などと思っているあなた、ここに立ってみてください。足元は地ではなく天、激しい起伏と湾曲した構造体は時空をも歪め、宇宙的感覚と無限の精神性を持って、自己を見つめなおす光を与えてくれるはず。その時、天命は反転するかもしれません・・・。

とは言っても、最高にフォトジェニックなスポット。あちらこちらで若者たちが、インスタ映えする写真を撮っています。さて、こちらのお嬢さんも先ほどシンガポールから“いいね”がつきました。彼女の姿はSNSで世界に発信され、その天命に予期せぬ光が差すかもしれません。そう思わせるのも、「天命反転地」ゆえなのではないでしょうか。(N.S)

撮影 冨田佳信