墨俣川古戦場碑
墨俣川古戦場碑

墨俣川古戦場と円興寺

西美濃にある源平合戦ゆかりの地

 

来年=2022年のNHK大河ドラマは「鎌倉殿の13人」。舞台となるのは源平合戦から鎌倉初期の時代である。主人公が北条義時で、源頼朝、平清盛も主要キャストとして発表されているから、平治の乱で源氏が平家に敗れたあたりから始まり、クライマックスは承久の乱になるだろう。

 

この源平合戦ゆかりの地が西美濃に多いことが、まだまだ一般には知られていない。

 

まずは、大垣市墨俣町にある墨俣川古戦場。

この地は平清盛没後、源氏討伐に出陣した平重衡を総大将とする平家軍と、源行家・源義円率いる源氏軍との間で戦いがあった場所である。平重衡は東大寺大仏殿の焼き討ちで有名な平清盛の五男、源義円は義経のすぐ上の兄で、常盤御前によって助命された今若・乙若・牛若(牛若が後の義経)のうちの乙若といえばよくわかるだろう。

この戦いで義円は討死し、平家軍の大勝利となった。古戦場は、旧墨俣宿の南にある。道路が狭く、バスで行くことはできない。広場か河川敷を想像していたが、民家と田んぼに囲まれた小公園だった。

義円公園と名付けられた敷地内には、墨俣川古戦場の碑とともに、源義円供養塔や義円地蔵のお堂などが並んでおり、近くには義円の墓もある。広大な関ケ原古戦場とは異なる限られた空間の中で、800年余り前の時代に思いを馳せる。

 

墨俣川古戦場(義円公園)
墨俣川古戦場(義円公園)
義円地蔵
義円地蔵
義円供養塔
義円供養塔

そして、同じ大垣市でも西北にある円興寺。

地元では紅葉の名所として有名だが、源氏ゆかりの寺で、源頼朝のすぐ上の兄、源朝長の墓などがある。平治の乱で平清盛に敗れた源義朝は東国へ落ち延びようとしたが、深手を負った二男の朝長は、この地で自刃して果てた。その朝長の菩提寺となったのが円興寺で、鎌倉時代に武士が上洛する際、この寺の前は下馬して通ったという。能「朝長」という演目があるくらいだから、昔は有名だったのだろう。

堂内に朝長の位牌が安置されているほか、朝長の墓、義朝や長男義平の供養塔などが残っている。ただし、当時の円興寺は東の山の中にあったため、朝長の墓や義朝・義平の供養塔は山を登った元円興寺内にある。

 

そのほかにも、垂井町には奥州へ下る源義経に討たれた伝説の大盗賊、熊坂長範ゆかりの「熊坂長範物見の松」があり、関ケ原町には義経を追ってこの地で殺されたという義経の母「常盤御前の墓」もある。

2022年は西美濃にある源平合戦ゆかりの地を掘り起こし、アピールする好機といえるだろう。(Y.I)

円興寺
円興寺
円興寺参道
円興寺参道