歌川広重「木曽海道六拾九次之内 大井」 中山道広重美術館所蔵
歌川広重「木曽海道六拾九次之内 大井」 中山道広重美術館所蔵

中山道広重美術館

江戸時代の中山道をタイムトラベル

江戸時代に活躍した浮世絵師・歌川広重。

幼い頃より絵画の才に秀でていたという広重は、花鳥図から美人画まで、生涯で様々な名作を世に残しました。

中でも風景画は卓越しており、後にヨーロッパに渡りゴッホやモネなどにも影響を与えました。その風景画の代表作が「木曽海道六拾九次之内」。歌川広重、渓斎英泉という幕末を代表する二人の絵師の連作で描かれた、江戸(日本橋)と京(三条大橋)を結ぶ中山道を舞台とした作品。69か所の宿場と出発地点の日本橋の合計70枚で構成されています。

主題は宿場の風景。細かな背景描写とその地域特有の気候・風土、街道に生きる人々の様子が丹念に描かれています。その流麗かつ優美な線とヒロシゲブルーをはじめとした見事な色彩、卓越した構図と描写で切り取られた風景は、観る者を当時の宿場へと誘う臨場感に溢れています。

実際の中山道の宿場跡を、広重作品の本やカタログなどを片手に訪れてみてください。往時の活気と風景を思い浮かべながら、タイムトラベル気分が味わえます。

 

この「木曽海道六拾九次之内」は、なんと岐阜県で全作品を楽しむことができます。

作品が展示されているのは、「木曽海道六拾九次之内」でも描かれている大井宿のある恵那市の中山道広重美術館。普段は複製画の展示ですが、毎年9月頃、1か月のみ実物展示が行われています。是非、一度訪れてみてください。

 

また、中山道広重美術館には、「木曽海道六拾九次之内」と同じく中山道を舞台にした作品が展示されています。江戸時代の浮世絵師、三代歌川豊国の作品「木曽六十九駅」がそれです。

役者絵で名をはせた豊国ならではの作品で、木曾街道の宿場町を背景に、当時の名優を前面に大きく描いた作品には、背景の宿場町に、宿場周辺のランドマークが描かれており、謎解き(※)のように、作品に描かれたモチーフの一つ(キーワード)が、次の作品を連想させていく、といった趣向の連作となっています。

※「美江寺宿」・・・美江寺宿の周辺の谷汲観音(谷汲山華厳寺/揖斐郡揖斐川町)から「観音」繋がりで青墓観音(現円興寺/大垣市青墓町)を連想し、そこから「世界花小栗外伝」という歌舞伎に登場する「青墓の里万長後家のお牧」という人物を演じた四代目坂東彦三郎が描かれている。

 

弊社では2020年に、この豊国の役者絵を表面に、裏面に宿場情報を記載した、岐阜県内の宿場を紹介した17枚のカード(中山道ぎふ十七宿 宿場カード)を制作しました。このカードを片手に、中山道を訪れる機会があれば、描かれた宿場のランドマークから往時を夢想し、役者さながらに大見得を切って写真に納まってみるのも乙な楽しみなのではないでしょうか(できれば、SNSで発信を!)

(Y.S)

中山道広重美術館 館内
中山道広重美術館 館内
宿場カード 美江寺宿 表面
宿場カード 美江寺宿 表面
中山道ぎふ十七宿 宿場カード
中山道ぎふ十七宿 宿場カード


中山道広重美術館

住所 / 〒509-7201 岐阜県恵那市大井町176-1

開館時間 / 9:30~17:00(入館は午後4:30)

休館日 / 月曜日(祝日は除く)、祝日の翌日、年末年始