ほほえみの円空仏

心に癒しとやすらぎを

岐阜県で長く親しまれている“円空さん”のお話をしましょう。円空は、江戸時代(1932年)に美濃国(現在の岐阜県)で生まれた僧侶で、7歳のころ洪水により母親を亡くしたことがきっかけで、母親を弔うための仏像を彫りはじめました。こうして仏門の道に進んだ円空は、全国各地を周り、そこで出会った病気や災害に悩みに苦しむ人たちのために、仏像を彫り続けました。その仏像の数は、63歳の生涯で12万体にものぼると伝えられています。

 

そんな円空さんが彫る仏像「円空仏」の最大の特徴は、その慈愛に満ちた表情にあります。

苦しむ庶民を救ってきた円空仏の表情は、なんともいえないやさしいほほえみをたたえているのです。その一つひとつの表情は、見れば見るほどに味わい深く、えもしれぬ魅力にあふれています。

 

私も疲れたときに円空仏のほほえみに触れますと、心がふわーっとあたたかく、大らかな気持ちになってきます。そして、私も円空仏のように、常に心にほほえみを灯し、人々に癒しと深い愛情を持つ人間でありたいと願うものです。

 

さて、そんな魅力あふれる円空仏が鑑賞できるスポットが岐阜県内には数多くあります。皆さんもぜひ、休日に心洗われるような“ほほえみツアー”はいかがでしょうか?(T.T)


円空仏に出会えるおすすめスポット

飛騨千光寺 円空仏寺宝館

岐阜県高山市丹生川町下保1553

 

「円空仏の寺」としても知られ、館内には63体の円空仏と寺宝の一部が展示開放されています。

洞戸円空記念館

岐阜県関市洞戸高賀1212

 

円空の最高傑作といわれる一木作り三像をはじめ、30体以上の円空仏が展示されています。

中観音堂・羽島円空資料館

岐阜県羽島市上中町526

 

本尊の「十一面観音像」(222cm)をはじめ17体の円空仏(県重要文化財)を間近に見ることができます。また、隣接して「円空上人産湯の井戸」があります。